忘れることに備える記録

観たり・聴いたり・読んだり

6才のボクが、大人になるまで。

Boyhood

2014年公開 アメリカ 166分

監督:リチャード・リンクレイター

キャスト:パトリシア・アークエット、エラー・コルトレーンローレライ・リンクレイター、イーサン・ホーク

みんな、一生をかけて、ゆっくり家族をつくってく。

 

すべての瞬間に「大切」が宿ってる。

 

メイソンJr.は、母オリヴィアと姉サマンサとテキサス州の小さな町で生活していた。彼が6歳の時、母は子供たちの反対を押し切って祖母が住むヒューストンへの引っ越しを決める。

さらに彼らの転居先に、離婚してアラスカへ行っていた父メイソンが1年半振りに突然現れ…

 

12年間同じ主要キャストで撮り続けた噂の話題作。今年に入ってようやく我が県でも上映され始めたのでシネプレックス岡崎に観に行ってきました。

基本的に長尺の作品はあまり映画館に行かないんですが、これは話題の内に観ておこうと思いまして、覚悟を決めて。

結果、166分なんてチョロイ。むしろもっともっと観ていたかったです。

盛り上がりがあるわけではないんだけど、全然苦じゃなかった。本当に全然苦じゃなかった!ここ大事なんで2回言いました。

よく「今何分経ったかな?」「あと何分や」と思うこともよくある私ですが、これは気付いたら終わってた。エンドロールに入って「終わるんか!!」と思った程。

 

この作品をどう思うかはそれぞれだと思いますが、個人的には今年1番の可能性を感じております。今年どころか歴代の中でも結構上位に来るような気もしています。

とりあえず個人的にとても好みのタイプの映画でした。

めっちゃオススメです!観て損なし。ハリウッドはなんかなぁ、な私も全力でハリウッドを見直しました。まだこんなチャレンジングな作品を作ってるのね。

でもどう思うかはそれぞれだと思うので、合わなくても怒らないでね。


f:id:ROUTE375:20150129221113j:image

 


映画『6才のボクが、大人になるまで。』予告編 - YouTube

 

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

ネタバレと言っても、別にネタバレになるようなことは特にないんです。

ある6歳の男の子の家族の色々ある暮らしを観ていく、そんな作品です。

そんなん今までもあったやーん、って思ってました、私も。

同じキャスト使ったのは凄いけど、それの何がそこまで、と思った時もありました。

 

同じキャストで撮るって予想以上に効果を出します。

この子がこう大きくなって…っていう感慨深さ(笑)、そして同じキャストだから滲み出るんであろう家族の強い結びつき、絆。

いいんです、いいんです。

本当にとある家族を見守っていく感じ。

いいんです。いいんですよ。

ちなみに↓メイソンJr.の移り変わり画像があったので。

面影あり過ぎて感慨深い(笑)

f:id:ROUTE375:20150129221128j:image

 

 

って言ってもそんなハッピーな家族ではないんですがね。

お父さんはダメ男でお母さん激おこ、離婚、父アラスカへ。

なんだそりゃ!

で、お母さんはその後2人と結婚するんですが、このお母さんそりゃまあ見事なダメンズウォーカー(笑)その後の2人の男なんて結婚する前から地雷臭凄いんだけど。

でも子供たちは週末は実父と会えるわけで、最初はそれこそダメンズだったこの父、良い父なんですよね。

子供とめっちゃ遊び、そこそこデリカシーなくて、最初の頃は子供以上に子供だった、でも子供に対してちゃんと親なんだよね。

距離を置くと良い父になれるタイプかなって思って観てたんですが、ラストの方、12年後くらいに言うんです、「今の俺は普通の男だ、お母さんの好きなタイプ。時間が必要だったんだよ」的なこと(1回で覚える程の頭は持ってないからニュアンスで)。

非常に納得しました。誰だって成長する時間は必要なんですよね。特にこの父は若くして親になったことを非常に悔いてますから、子供に言うくらい。普通はそんなん親に言われたらすっごく嫌だと思うんだけど、この父は若くして親になったことは後悔してるけど子供たちを煩わしく思ってるわけではない、それが伝わってくるからいいんだよね。

 

そして母。しっかりしてるんだけど、なんか詰めが甘いイメージ(笑)あまり好きなタイプではないんですが、でも彼女にも同情というか感情移入?はしちゃうな。

特にメイソンJr.が大学に進学して家を出ていく時にぶちまけるセリフ。

私は親じゃないからあのセリフを心底理解できるわけじゃないけど、でもグッときた。親ってなんか切ないね…。まぁ私は親に「はよ出てけ」と言われてる身分なので全ての親がああってことじゃないんだろうけども(笑)

 

姉は監督の娘らしんだけど、この子が絶妙。ブスかわって言うか、性格も悪くも良くもないと言うか、私には姉がいないけど、弟にとっての私はこんなんかもしれないって感じ。たまにすげー嫌な奴だけど、嫌いとか好きとかそういう存在じゃない、兄弟だなーって。賢い印象はなかったけど、抑圧されてきた子供って感じは出てたな。

 

そしてね、そして。

父の友人、バンドやってるジミー役としてチャーリー・セクストンが出てるのです!ギター弾いてるのです!

何このイケメン!チャーリー!氷室さんのアルバムに参加してたチャーリー!!くらいの興奮をこっそり心の中でしていました。いやー、驚いた。

 

チャーリーが何気なく出てることもあってか(多分関係ない)、音楽もすごく良かったです。

COLDPLAYの「Yellow」とかその年代年代の音楽が流れたり、フーファイターズも流れてたっけ?洋楽は詳しくないから間違えてるかも。

1番グッときた曲は父と息子が2人でキャンプに行く時に「この曲を聴け。これはビートルズアビーロードに匹敵する名曲だ」と父が言ったウィルコの「Hate it here」

なんか本当、凄く名曲に思えてきたわ。

あと、映画オリジナルの父と父の新しい嫁、そして姉と弟が即興で歌った歌。あれ凄く良かった。相反することを歌ってくやつ。

サントラ買おうか悩んでるけど、どうかなー。サントラまで買い始めるとなーって気持ちが…。ちなみに持ってるサントラは「リトルダンサー」と「シャイン」アイデン&ティティ」くらいかな。「チョコレートドーナツ」のサントラもアランの歌目的で買おうか悩んでるんだけどね。まぁもう少し考えよう。

 

ビートルズと言えば、父が息子にビートルズを語るシーンも良かった。本当何気ないシーンなんだけど。スターウォーズの会話のとこも凄く印象に残ってるな。続きを作るならどんなんにする?みたいな。そんなスターウォーズの続きはトレイラーが発表されたりしてるわけですが、時の流れを感じるよね。ロングドライブに臨む息子に「お前はオビ=ワンだ」ってセリフもいいよね。

こういう本当何気ない会話が生きてる作品だった。活きてるっていうより生きてるって感じ。

実際大人組が毎年撮影前に子供とどんな会話をしたとか、そういうのを出し合ってたようですが。ヒューストンへの引っ越しの時の「無言ゲームよ」ってのもなんかあるあるでいいよね。

 

とりあえずすごく良かったです、もう1回観たいです。ディスク化は年末近くになるのかな?来週末まで上映らしんだけど、マジでもう1回観に行こうか悩んじゃうね。

 

すべての瞬間に、「大切」が宿ってる。

っていうキャッチコピーそのままの作品でした。

一瞬は永遠で、その全てが大切で愛しい。 しみじみそう思わせてくれる名作です。