忘れることに備える記録

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凶悪

凶悪

2013年公開 日本 128分

監督:白石和彌

キャスト:山田孝之ピエール瀧リリー・フランキー池脇千鶴

ある日、ジャーナリストの藤井は、死刑囚の須藤が書いた手紙を持って刑務所に面会に訪れる。

須藤の話の内容は、自らの余罪を告白すると同時に、仲間内では先生と呼ばれていた全ての事件の首謀者である男の罪を告発する衝撃的なものだった。藤井は上司の忠告も無視して事件にのめり込み始め…

 

観たいなーと思いつつ忘れてた作品。

レンタルカードを作るまでは映画館or購入という方法しかなかったので…邦画はディスク化しても高いんだよね、レンタルって有難いわ。

ちなみに「冷たい熱帯魚」も観たいと思いつつ忘れてた…次借りてこようかな。

園子温監督と言えばシネマスコーレを思い出しますが、シネマスコーレは実は行ったことない。今度行ってみようかな。

 

 ってことで観賞。

怖いわ…怖いわ。

これジャンルはサスペンス?ソワソワする系でした。

ずーっとその感じが続くんだけど、飽きはしない。

まさに「怖いもの見たさ」ってやつですかね、池脇千鶴も言ってたけど。

でも心の晴れ晴れしさはないのでそういうの嫌いな人はお気をつけて。


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映画『凶悪』予告編 - YouTube

 

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

ピエール瀧リリー・フランキーのマジキチさが恐怖。なんであんなにリリー・フランキーってマジキチさがあるんだろう…

若者の中ではキチ演技をさせたら随一だと思う二大俳優の内の1人、山田孝之もさすが。もう1人はもちろん藤原竜也です、勿論。

3人とも目に狂気を宿してるんだよね。そしてその雰囲気が三者三様と言うか。

 

ピエール瀧はわかりやすくチンピラ、ヤクザなんだろうけどチンピラの雰囲気。キレやすく、裏切りが嫌いで疑心暗鬼になりやすいというか、暴力でしか解決できない。他人を威圧する狂気ですね。ぶっこんじゃうよ!めっちゃ笑ったはこのフレーズ(笑)

リリー・フランキーは静かな狂気。先生と呼ばれて穏やかそうに見えるけど、完全にイッちゃってる人。人を殺すことを何とも思わないだけではなく、楽しそうなんだよね。作中でピエール瀧が詠んだ川柳にあるように悪魔だよね、悪魔。

山田孝之は段々じわじわ狂気に支配されてく感じが…。観てて1番怖かったのは山田孝之だった。池脇千鶴演じる妻も認知症の母も、日常が少しづつ壊れていく感じ、一番身近に感じる分1番の恐怖でした。

怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。

まさにこれ。

ラストでリリー・フランキーが「オレを1番殺したいと思ってるのは被害者でも須藤でもない」 って言って面会室のガラス越しに山田孝之を指差すシーン。

そこからリリー・フランキーが面会室を出て行って引きの画になるんですが、そうすると面会に行く側の山田孝之が捕まっているような画になるのです。

裁判の時に須藤に「お前は生きる意欲なんて感じてはいけない、生きていてはいけないんだ」と取り乱すシーンといい、山田孝之演じるジャーナリストはどんどん正義という名のもとで狂気に染まっていくんですよね。

いやー、怖かった。

 

この映画の撮影は3週間だったらしいですが、出演者の方も精神的に辛かったようです、話が話なので。

ピエール瀧は「実在の犯人はまだ収容中、遺族の方もいるのに正直関わりたくない」的なことを思ったようですが。

 

めっちゃオススメ!とは言えないですが、観る価値はあります。

ただ後味良くないので、できればもう1本明るい映画を用意してから、1本目にこちらを観るといいと思います。

私は今回観る順番間違えたかなーと思ってるので…

 

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 原作はこちら

 

凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)

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