忘れることに備える記録

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ホーキング

HAWKING

2004年制作 2013年米国公開(日本公開は多分ない) イギリス 89分

監督:フィリップ・マーティン

キャスト:ベネディクト・カンバーバッチ、マイケル・ブランドン、ピーター・ファース、トム・ホジキンソン、リサ・ディロン、アリス・イヴ

1963年イギリス。ケンブリッジ大学院で理論物理学を学んでいるスティーブン・ホーキングは、自宅で21歳の誕生日を迎えていた。ほのかに恋心を寄せるジェーンの存在と、彼の好奇心を満たす宇宙の研究。

その将来は、順風満帆かに思えた。

そんな中、突如スティーブンは脳の命令が筋肉に伝わらないALS(筋委縮性側索硬化症)を発症。身体の筋肉は次第に衰弱し、余命は2年と宣告される。

両親は、スティーブンを支えるのは今まで通りの生活だと思い、彼を大学院に戻す。

しかしその身体は、溺れるように自由が利かなくなっていった。

彼は、その恐怖を打ち消すかのように研究に没頭するが…

 

約10年前の作品なんですが、昨今のカンバーバッチ人気に乗じてとうとう日本版DVD発売に。

カンバーバッチのおかげなんでしょーと私も思ってましたが、「博士と彼女のセオリー」のエディ・レッドメインの演技が凄いと聞きホーキング博士の話なら観ようかな、と思ったものの「博士と~」は奥さんとの恋愛話がメインだと知り、他人の恋愛話にそこまでの興味は…でもホーキング博士の話観たいな…あ、カンバーバッチの!という長い理由で観ることに。

結果、良かった。

カンバーバッチのファンは勿論、ファン以外でも楽しめる作品かと思います。

まぁ出てくる話は物理なのでややこしいと言えばややこしいですが、結構わかりやすくしてくれてる気がする。

そして何よりカンバーバッチの演技が凄かった。筋肉に脳の指令を伝達できなくなるって感じをあんなに表現できるのか…と驚きました。そして今より人間味がある…っていうか、サイボーグ感は薄い(笑)

私最初はカンバーバッチのあのサイボーグ感が苦手って言うかなんか怖くて…(笑)いまだに実はサイボーグなんじゃ…と少し思いますが…。

そんな人にもオススメです(笑)


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ベネディクト・カンバーバッチ ホーキング - YouTube

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

ホーキング博士ALSを発症してから「特異点定理」に辿り着くまでの話なんですが、ホーキング博士の研究はテレビでたまに紹介されてるのを聞きかじった程度、宇宙に関しては好きは好きだけどそんなに詳しくないし、こないだNHKでやってたローレンス・クラウス教授の宇宙白熱教室は第1回は録画してまで観たのに残り3回をコロッと忘れたくらいの私には所々「???」となる部分もありましたが、それでも楽しく観れました。

ホーキング博士は日本でも知名度高いし、話に置いていかれるようなことにはならないと思います。

 

話自体も興味深く面白いんですが、構成に1番グッときたかな。

ホーキング博士が論文の題材を探しながら「特異点定理」に辿り着くまでのメインストーリーの途中途中で、知らないおっさん2人がノーベル賞がなんだ、ノイズがなんだ、3度がなんだ、ドイツがなんだというインタビューを受けてる話が入ってくるんですが、無知な私は「誰だこいつら、ノイズがなんやねん、3度ってなんやねん」って思ってました。

でもラストの方で、ホーキングが発表した「特異点定理」に対して「ビッグバンによる放射の名残があるはずだ、そのノイズを誰も聞いてない。ってことはそんなのないんじゃないか?」とムカつく(個人的主観)ホイルが言うんですが、そこで「ああ!!!」ってなった。

で、画面はまたあのおっさん2人の映像に。そしてカメラ目線で「すべてつながる、わかるかな?」ってカメラ目線で笑顔で話しかけてくるおっさん。このセリフは勿論インタビューへの受け答えなんですが、観てるこっち側からすると「わかった!わかったよ、おっさん!!つながったよ!!」って興奮状態(笑)

インタビュー形式をとってるんで、カメラ目線でも違和感はない、あくまで自然に客に答えを提示してくれるんです。

正直「やられた!」って思いました。

まぁこの2人、1978年に「宇宙の始まりの音(ビッグバンの名残)」を発見してノーベル賞を受賞したアーノ・ペンジアスとロバート・W・ウィルソンでして、知ってる人は普通に知ってるのでこの驚きが全員に訪れるわけではないですが、この構成は素晴らしかった。

 

あとは心に残るセリフが多かったな。

「僕らはちっぽけな存在だけど、偉大なことを達成する力を持ってるんだ」とか今まで何度も聞いたようなセリフもホーキング博士の姿を観た後ではなんかグッとくる。

ALSによって今では重度障害者用意思伝達装置で話すホーキング博士(この作品ではナレーションをしてます)ですが、ラストに「ぼくの声は聞こえる?」と繰り返すのも鳥肌がきた。

アインシュタインを美しくした」って言葉も綺麗だよね。

でもやっぱ1番心にきたのは「他人の批判に才能を使うな。自分の研究をしなさい」だね。

あの教授は素晴らしく良い指導者だな。

 

短い作品ですが、この90分足らずの中に沢山学ぶものが詰まっています。学問的にもね。

 

ベネディクト・カンバーバッチ ホーキング [DVD]

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