忘れることに備える記録

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複製された男

ENEMY

2013年公開 2014年日本公開 カナダ・スペイン 90分

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

キャスト:ジェイク・ギレンホールメラニー・ロランサラ・ガドンイザベラ・ロッセリーニ、ジョシュア・ピース

何も刺激のない日々に空虚なものを感じている、大学で歴史を教えているアダム・ベル。ある日、何気なく映画のDVDを観ていた彼は、劇中に出てくる俳優が自分自身とうり二つであることに驚く。

彼がアンソニー・クレアという名だと知ったアダムは、さまざまな手を尽くして彼との面会を果たす。顔の作りのみならず、ひげの生やし方や胸にある傷痕までもが同じであることに戦慄する。 

 

この作品は一時期やたらとAmazonが勧めてきてて、「主演の人 髪型とかヒゲの感じがなんとなくアロンソっぽい…気になる…」と思いつつも、タイトルがSFのようであまり乗り気になれず。結局観てないけど分身ものなら『嗤う分身』の方が気になってたし。

で、前回は『デスフロント』と『僕が星になるまえに』を借りようと思ってたのですが、まさかのどっちもない…

そんな時に目に止まったので借りてみました。

ちなみに予告編とかで気になった作品はメモってあって、そこからその時の気分で作品を借りたりしているんですが『僕が星になるまえに』も結構前にメモってあって、なんとなくぼんやりとストーリーを覚えていたので「これ観たい!」となったのですが、調べてみたらカンバーバッチが主演なんですね。

私カンバーバッチが苦手だった割には彼の主演作品を結構観てたり惹かれたりしてる…。まぁ苦手って言ってもあのサイボーグ的な見た目が苦手だったわけで、何作か観てみたら「良い俳優だなー」としみじみ感じております。顔がタイプじゃない俳優で久々に好きになった気がする(笑)

って、カンバーバッチの話はいいんだよ。

この『複製された男』ですが、ミステリー作家たち(新本格派の人が多いかな)が絶賛する理由がわかりました。

騙されてた…っていうか、本当にラスト近くになるまで話の根本がわからなかったわ。で、終わってからも「…~ってこと??」となって、監督たちのネタバレを見てようやく「ああ…」となったわけです。

ちなみに「ああ…」ってなったけど、謎が全て解けたわけではないです。

この作品は「観終わって完結する作品」ではないので、そういうのが苦手な人には勧めませんが、考察するのが好きな人にはバッチリな作品だと思います。

個人的には70点から80点くらいの感じかな。


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映画『複製された男』予告編 - YouTube

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

まず「アロンソっぽい」と思ってたのがジェイク・ギレンホールでビックリしました。あんなヒゲモジャだと気付かない。

 

で、ぶっちゃけ最初の30分くらいは眠くてしょうがなくて(作品が眠いわけではなく、疲れてて眠いまま観始めた)ぼんやりしてる部分があるんですが、自分と似た男を必死に探していたアダムが実際アンソニーと対面して「そっくり」じゃ済まないレベルと知り一気に手を引く場面に少し違和感を覚えていました。

あと彼女との関係にもなんか違和感…

 

まぁこれを書いてる今はラストを知っているので、観ていた時の純粋な気持ちは完全に思い出せませんが…(笑)

 

どうしよう、とりあえずネタバレ後記なんでまずネタバレしておきます、その方が話しやすい。

結局「アダムとアンソニーは同一人物だった」っていうのがオチなんです。

二重人格というか、それよりもう1人の自分って言った方がしっくりくる気がしますが。

主人格がどっちなのかははっきりしませんが、とりあえずアダムでしょう。

妻帯者のアダムは妻が妊娠しているけど、浮気願望が捨てきれず愛人と切れずに関係を続けている。

妻は浮気していたのを知っていて、関係は終わったと言ってあるがそれを信じていない。

そんな妻から逃げたい為にアダムは愛人へ、アンソニーが妻へ。

 

ん?でもそうなると矛盾が…うーん。

結局どこからどこまではアダムの妄想なのかわからないので、これが現実!とははっきり言えないんですよね。

アダムの職業もそうですが、歴史講師なのか俳優なのか…

冒頭で母が「ちゃんとした仕事に就いて」とか言ってたので俳優なのでしょうか…

でも途中で「ちゃんとした職業に就いているんだから三流俳優と似てるなんて言わないで」と言ってるし。

過去に三流俳優をしてて歴史講師に転職したと考えるか、三流俳優のままで母を安心させたい為にちゃんとした職業の自分を妄想したのか…

でも現実に戻ってくるきっかけになったのは妻の「今日は学校どうだった?」だと思うし。そうすると歴史講師が本業?

うーん…

 

まぁこんな感じで本当に答えのない作品なのです。

監督は

最も簡単に説明すると、浮気している既婚男性の話で、彼が浮気相手から妊娠している妻のもとに戻るまでを潜在意識の視点から描いた作品なんだ 

 とネタバレをしてくれているんですが、アダム=アンソニーの図式は見えましたが、それでも謎はまだまだ多いんですよね。

とりあえず原題のように「敵は自分」ということですね。それにしてもこの邦題は誤解を生むね。 

 

和解できたはずの妻がラストに蜘蛛になってしまうのは、アダムが同じことを繰り返す(妻のもとから逃げたい気持ちが芽生えてきている)ことの象徴だと思ったのですが…これもどうなのか。

 

まぁ要は観終わってから謎が始まる作品です。答え合わせのない問題に挑むのも挑まないのも自由ですが。

原作も評価が高いのですが、結構敷居が高い気がしてちょっと躊躇う。

原作読んだら少しは謎が解きやすくなるのかな?

まぁ気が向いた時に再見して原作も読んでみようかな。

 

 原作はこちら

複製された男 (ポルトガル文学叢書)

複製された男 (ポルトガル文学叢書)