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ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅

NEBRASKA

2013年制作 2014年日本公開 アメリカ 115分

監督:アレクサンダー・ペイン

キャスト:ブルース・ダーン、ウィル・フォーテ、ジューン・スキップ、ステイシー・キーチ、ボブ・オデンカーク

100万ドルが当たったという通知を受け取ったウディ。

それはどう見てもインチキだったが、徒歩でもモンタナからネブラスカまで金を受け取ろうとするウディにデイビットが付き添うことに。

こうして始まった父と息子の4州をまたぐ車でも旅。途中、立ち寄った父の故郷で、デイビットは父の意外な過去を知ることになる。 

 

ディスク化された時はまだレンタルカードを持っていない時期でして、廉価版出たら買おうってずっと思ってた作品。ペイン監督のファミリーものは鉄板ですね。

しかしレンタルカード作ってから何度も手にとるも「今は気分じゃない…」といつも置いてたんですが、このGWにようやく観る気になりました。

やはり鉄板です。

モノクロ作品好きなんです、私。色がないから余計に心情が見えるというか。

そしてボケ気味の父親を演じたブルース・ダーン、凄かった。さすがでした。

笑えて切なくて苦しくて温かい作品でした。ゆるーっと観れるのもいい。さすがペイン監督。『ファミリーツリー』もまた観たくなってきたな。


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映画『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』予告編 - YouTube

 

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

ブルース・ダーンの演技が素晴らしかったからこそ、観ていて苦しい作品でもありました。

簡単に人を信じてしまうアル中気味、ボケ気味の父親が詐欺の「100万ドル当選しました」って手紙を信じて何としてでもお金を受け取りに行こうとするお話。

家族が「それは詐欺だ」と何度言っても「でも当選したって手紙が来たんだぞ」って信じている父。フラフラの足取りで何度もネブラスカを目指してしまう。

静止に疲れ、この手紙が父の支え?になっていると思った息子は父の旅に同行することに。

旅の途中で寄った父の故郷で父が賞金を当てたと知って持ち上げてくる昔馴染み達。そして「昔〇〇ドル貸していた」だの「負債を負った」だので金を得たならあの時の恩を返してくれと言いだしてくる。その度に息子は「当選していない」と説明するものの、金を渡したくないから嘘をついているんだと思う人々。

でも父が大事に持ち歩いていた当選の手紙を見て、父がよくある詐欺を信じているバカだと笑い者にする。

そこで父は当選金を受け取りに行くことを諦めるが…

っていう、観ているこっちもしんどかった…

いや、これはまだ大金を騙し取ろう系の詐欺じゃないからいいんだけどさ、人を騙すって、その騙された側の心をなんだと思っているのか。

他人を疑ってかかる現代は寂しいとか言うけど、そんな世の中にした人が沢山いるんだよね、何なのか。信じる者がバカだなんて偉そうに言う厚顔無恥な奴は勘弁ならない、特にここ最近の家族を想う気持ちを使って…ってもうやめておこう。あ、うちの家系に被害者はいないです、大丈夫です。

もうね、うまく言葉にはできないけど、観ていてそういう苦しさがずっとあって、でもちょいちょい笑いどころもあって、息子が優しくて、最初はムカついた母も嫌いじゃなくて、苦しいながらも救われてたな。

 

ラストは読めるんだけど、でもそれが良かった。

こうしてあげるんだろうなーって希望にも似たオチの読みを実行してくれるから救われる。いい作品だったなーって終われる。

うん、良作でした。

 

個人的好きなシーンは父を笑い者にした昔馴染みを息子が殴るところ。

むしろもっと殴れ、ぼこぼこにしろ、と思った(笑)

あと兄弟でコンプレッサを盗みにいくシーン。なんてチャーミングな家族なんだ(笑)

あとラストで「PRISE WINNER」の帽子を被った父も切なかったけど、なんかじわーっときたな。

 

まったりゆったり観るのに本当にオススメな1本です。

むしろ何かしながら観てもいいなじゃないかとすら思います。