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駆け込み女と駆け出し男

駆け込み女と駆け出し男

2015年公開 日本 143分

監督:原田眞人

キャスト:大泉洋戸田恵梨香満島ひかり内山理名陽月華キムラ緑子武田真治樹木希林堤真一山崎努

江戸時代、幕府公認の縁切寺として名高い尼寺の東慶寺には、複雑な事情を抱えた女たちが離縁を求めて駆け込んできた。

女たちの聞き取り調査を行う御用宿・柏屋に居候する戯作者志望の医者見習い・信次郎は、さまざまなトラブルに巻き込まれながらも男女の揉め事を解決に向けて導き、訳あり女たちの人生の再出発を後押ししていくが… 

 

観に行こうとあまり思っていなかったのですが、母親が観たいと言ったので付いていくことに。

思ってたより良かったです。

予告で観たくらいで前情報無しで観たんですが、もっとコメディなのかと思ったら井上ひさしさん原作だったのですね。それすら知らなかった。

そして監督が原田眞人さんってのも知らず。原田さん監督と聞けば納得の作風で。

井上ひさしさん原作・大泉洋主演ってこともあって程よいユーモアもあり、ウェットに富んだ部分もあり、2時間超え作品ですが飽きずに観ていられました。

ただ時代背景を知らないとイマイチわからない部分、江戸言葉?当時の言葉や方言などがイマイチわからなかったり、あと結構頻繁に登場人物たちが都々逸のようなものを歌うんですがそれもイマイチわからなかったり…

まぁこれは私の教養不足でしょうか。ちなみに観客はほぼおば様たちで、結構笑いが起きていたりしていたのでやはり私の教養不足かもしれません…。

とりあえず井上ひさしさんらしい人間の話でした。

登場人物が魅力的な方が多いので話の内容が少し物足りない部分もありましたが、やはり邦画の安定感がありました。


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『駆込み女と駆出し男』予告編 - YouTube

 

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

夫が浮気していて愛人の家に入り浸って仕事をしない鉄鍛冶のじょご、大きな問屋の愛人をしているお吟が離縁を求めて駆け込み寺である東慶寺に駆け込むという話。

そこに御用宿の人たちや東慶寺の中の人たちも交えて色々てんやわんやしたりするお話です。

縁切寺があるってのは知っていたのですがそのシステムをあまり知らなかったので「東慶寺に駆け込む→御用宿にて事情を聞き込み→夫を呼び出し協議離婚ができないか打診→東慶寺にて24か月過ごす→夫側に離縁状を書かせ離縁できる」という流れというのを初めて知り、女側から離縁できなかった当時としてはなかなかのシステムだなーと感心しました。

東慶寺は尼寺なので男子禁制だし、ちゃんと女性の逃げ道があるのはいいですね。

で、そこで起こる色々なことが描かれているわけで。

じょごが信次郎と恋に落ちるのはもう予感バリバリだったので落ち着くとこに落ち着いて良かったなって感じですが、お吟さんの話は良かったな。満島ひかりの眉無し・お歯黒姿のインパクトが凄かったですが愛人感が似合ってたな。で、そのお吟は登場した時はどう見ても堀切屋の主人のことが好きじゃないかなーって思ったのに離縁を求めるから何でなのかなと思ってたら病床の自分を好きな人に見せたくないと理由で縁切り寺入り。

お吟のことが好きで取り戻したいもののそんなお吟の気持ちを聞いてそれを尊重する主人もなかなか。

あと個人的に陽月華演じる院代様こと法秀尼さんが好きです。マジメかつおかしいと言うか、マジメ故にちょっとおかしい感じが(笑)樹木希林演じる源兵衛が言うように「人の悪意を知らない」って感じで。

で、この法秀尼さんの秘密ってのがありまして、映画内ではあまり描かれていなくて私もよくわからぬままで…

でも密偵として寺入りした玉虫が「隠れキリシタンとして生きてきたけどここで生きていきたい」と言っていたので法秀尼さんも隠れキリシタンだったのかなーくらいに思ってたんですが、帰宅してから調べてみたら東慶寺隠れキリシタンの駆け込み寺みたいな感じでもあったようで。知らなかった。

 

そういう背景を知らないとなかなかわからない部分もありますが、それでもそこそこ楽しめるものだったかな。

コメディ作品を期待すると肩すかし食らうかもしれませんが、人間ドラマとしてはなかなかでした。

全然触れなかったけどマジメに地道に頑張る姿も良かったです。

 

原作はこちらです。

東慶寺花だより (文春文庫)

東慶寺花だより (文春文庫)