殺人の追憶
MEMORIES OF MURDER
2003年制作 2004年日本公開 韓国 130分
監督:ポン・ジュネ
キャスト:ソン・ガンホ、キム・サンギョン、パク・ヘイル、キム・レハ
1986年10月23日、農村で若い女性の変死体が発見される。
地元の刑事パクは地道な取り調べを始めるが、現場は大勢の見物人で荒らされ、なかなか証拠がつかめない。やがて、第二の事件が起きてしまう。
ようやく返ってきてました。ようやく観れたよ!もう!
いやー、傑作と言われるだけあるね。
美女もイケメンも出てこないし、魅力的な知性派刑事も出てこない、でも面白い。
正直主人公たち刑事にはイライラするし、韓国映画を数本観て思うのは韓国の警察マジでどうなってるんだってこと。被害者の鑑識してる横になんでさも当然のようにテレビカメラがいるんだ。
そして上の紹介文の「地道な取り調べを始めるが」も嘘です(笑)超杜撰で乱暴な取り調べだよ。仕立てあげようとしてるし。
そんな韓国警察のムチャクチャか!って感じと、刑事たちの葛藤がなんか不思議な気持ちになる。犯人仕立てあげようとしてたのに必死に犯人探すところとか「え?何がしたいの?」とすらなったよ(笑)
でもやっぱ面白かったな。10年以上前の作品だから画質とかは悪かったけど。
今まで観た他の韓国映画よりはグロ度も低いと思います。でもスッキリ終わるタイプではないのでそういうのが苦手な人にはあまりオススメできません。
以下ネタバレあり
実際にあった未解決事件が元ネタということもあって、映画内でも犯人が見つからずに終わります。容疑者は何人か出てくるし、犯人に近付けそうな場面もあるけど、結局見つからずです。
光が差したかのように思えた警察の捜査がまったくの見当違いだったりした時は観てるこっちも「違うんか!」とガックリしました。
こういう話は普通は「2時間も観たのに犯人わからないんか!」とイラッとしそうなもんですが、まぁ元が未解決ってのもあるし、あとその未解決になるまでの過程が楽しめるので観終わった後に「スッキリしないなー」とはあまりならなかったな。
犯人に近づいていってると思わせる色んな物が悉く関係なかったとわかっていくからもういっそ清々しいのかもしれない(笑)
それにしても映画や本でミステリーを結構好んで見てるけど、現実ってこんなもんなんだろうなーって何かしみじみ思いました。
現実の犯人は警察を挑発したり無意味にヒント与えたりしてこないし、頭脳明晰なそれこそ安楽椅子探偵みたいな人はいないし、そもそも犯人が近くにいるとは限らないし(どの場合も例外はあるけども)
わらの中から針を見つけるような捜査をして、それでも見つからないなんてことは普通にあることなんだよなーと改めて思ったり。
個人的に好きなシーンは犯人が刑事の彼女と女の子、どちらを襲おうか考えているところ。まんまとドキドキしました。
あれもあそこで犯人が襲った相手が違ったら後々暴走するのは逆だったんだろうなーって思うと不思議な気分になるというか切ないような気分になるというか。
あとはラストも良かったです。
刑事を辞めた主人公が仕事の途中で最初の事件現場に通りかかった為たまたま寄って当時の現場を見ていると「少し前にもそこを見ていた人がいたから何しているのか聞いたら自分が昔やったことを見に来たって答えた」と少女に言われる。そいつが犯人だと思った主人公は「顔を見たか?」と聞くと少女は見たと言う。「どんな顔だった?」と聞けば「普通の顔」。
この作品のメインの部分はきっとここですよね。
猟奇的殺人を犯す人は別に特別な人ではない。被害者になるのも特別何かをした人ではない。自分の身近な人が被害者にも加害者にもなり得るんだよね。
そして勿論この事件の犯人はどこかで生きている可能性もあるわけで。
そう思うとなんとも恐ろしい作品だな。
DVDは画質悪かったからBDで観たいな。