リアリティのダンス
LA DANZA DE LA REALIDAD
2013年制作 2014年日本公開 チリ、フランス 130分
キャスト:ブロンティス・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、イェレミアス・ハースコヴィッツ、アレハンドロ・ホドロフスキー、クリストバル・ホドロフスキー
1920年代、軍事政権がはびこるチリの小さな村トコピージャ。アレハンドロは高圧的な父ハイメと、息子を自分の父親の生まれ変わりだと信じる母サラと一緒に生活していた。
一方学校では、ロシア系ユダヤ人とあることからいじめれていた。
カルト系の作品は嫌いではない、むしろある意味、いや、色んな意味で面白くも感じるタイプです。しかしホドロフスキーは今まで未見。『ホドロフスキーのDUNE』を観に行きたいなと思って初めて意識し始めた監督でした。それまではなんか凄すぎて逆に手が伸びなかったよ。まぁ『ホドロフスキーのDUNE』は観に行けなかったんだけど。その内借りてこよう。
そしてこの『リアリティのダンス』はホドロフスキーの幼少期の記憶や家族についてをベースに作られた作品なんですが、そんな前情報も何もなくポスターを見た時は「ホドロフスキーがロリータ的映画を…」と思いました、なんか色々とすみません。だってホドロフスキーの立ち位置がなんかいやらしい感じだったから…。でもあの子は少年だったのですね、始まってすぐビックリしたわ。
作品自体は典型的なカルト的作品を想像したけど意外とわかりやすく、前向きな作品でした。映像は勿論素晴らしかったし。
割と一般受けもしそうだと思うけどどうなんでしょう。
ただ何故か股間にモザイクがある時とない時があるので気を付けてください。何が基準なのかわからないけどモロ見えだったりするから(笑)隠すのと隠さないのは何が違うのか…(笑)
他の作品も俄然気になってきたな。
以下ネタバレあり
これはどういう話とは一言では言えないので…気になる方は観てください。
ただ私は歴史的背景とかわからないので、そういうのを省いたストーリーと映像を楽しんでいました。
私は大好きなゴダールの作品で「意味のないものを省いてストーリーを追う」というそれでいいのかっていう手段を身に付けているのですが、これは何が意味のあるもので何が意味のないものかってのがイマイチわからなかった(笑)
あ、勿論ゴダールの作品は2度3度観て隅々まで楽しんでます、大丈夫です。
でもそんなわからないが沢山ある中でもちゃんとわかりやすくストーリーは作ってあって、人間賛歌ってのが納得です。
色々と問題のある人が出てきて、特に両親が好きじゃなかったんですが、観ているうちになんか愛おしくなるから不思議。
この感覚が個人的にとても人間賛歌だと思います。私自身基本的に他人が好きではないんですが、でも仕事で迷わず接客業を選ぶくらいには人間好きです。矛盾しているように見えて、こういうもんじゃないかなって今は思います。
世界には自分の気付かない何かがあり、自身の中にも自分の気付かない何かがある。それは喜びでも悲しみでもあるけど、きっと総じて希望と呼べるものなんだろう、と……いう話なのかはわからないですが、そんなことを思ったりしました。
こういう感想を持つってことは私も随分老いたな…
この作品関連で1番興味を持ったというか、面白いと思ったのは岡村ちゃんとホドロフスキーの対談です。
ちょうどこの作品の公開で来日している時の対談のようですが、岡村ちゃんの質問がなかなかどぎついというか、そこ聞く?みたいなので…
しかしそれに対するホドロフスキーの回答が素晴らしかった。
勝手なイメージでアート系の監督ってちょっと擦れた部分があると思ってたんですが「こんなに愛に溢れた人なのか」という印象を持ちました。
なるほど、こういう人の作る作品は、そら人間賛歌になるだろうと。
この『リアリティのダンス』の続編ともいえる次回作『エンドレス・ポエトリー』も楽しみです。
岡村靖幸『あの娘と、遅刻と、勉強と』 (TOKYO NEWS MOOK 479号)
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他にもなかなか魅力的な対談相手ばかりで読み応えあります。