忘れることに備える記録

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ある会社員

A COMPANY MAN

2012年制作 2013年日本公開 韓国 96分

監督:イム・サンユン

キャスト:ソ・ジソブ、イ・ミヨン、クァク・ドウォン、イ・ギョンヨン、キム・ドンジュン

ヒョンドは殺人請負会社に勤務して10年になるプロの殺し屋だった。。

ある日、共に仕事をした新人のフンを会社の指令通りに殺害しようとしたヒョンドだったが、死を覚悟したフンに貯めた金を家族に渡してくれるように頼まれる。フンの家を訪れたヒョンドは、フンの母親がヒョンドが昔から好きだった一発屋の歌手・ミヨンだと気付き… 

 

『映画は映画だ』を観てソ・ジソブが格好良かったので他のも観ようと思って借りてきたもの。

いやー、今作も格好良かったです。『映画は映画だ』の方が雰囲気が好きですが。

ストーリーとしては表向きは一般企業だが営業2課は殺し屋っていうとんでも設定ですが、結構楽しく観れました。

特に前半はヒョンドの寡黙さや、優しさ、仕事中のなんとも言えない空気感とか観ていてとても満足だったんですが、 後半にいくにつれ少しずつ退屈になっていく感じは否めない。

でも96分とは思えないくらいちゃんとストーリーはまとまっていたというか、とりあえずきちんと展開していたので観ていて苦痛になる部分はなく。

この監督はこの作品が長編デビューということで「良くできてたなー」という感覚です。個人的には結構好きでした。


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ソ・ジソブ主演『ある会社員』予告編 - YouTube

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺人会社っていう設定はなかなか面白かったです。この設定故にラストの対会社の戦いは結構壮大なものになっています。

ただみんなプロの殺し屋の割にはヒョンド以外は結構お粗末に見えましたが。何故防弾チョッキを着ている彼の胴ばかり狙うんだ…。プロでしょうが。

エレベーター内で会う違う会社の女の人が「素敵なチョッキですね」って褒めるのも…(笑)防弾チョッキってわからないとしても素敵ではないよね(笑)

でも個人対多数の銃撃戦(お粗末な部分は多いけど)からの肉弾戦とかはそれなりに見応えがありました。ただボスがあまりにも呆気ないけども、いや、全体的に呆気ないかな。そんなら車の中で戦った女の人の方が断然強かった気がします。

でも高速のあんな場所であんなガチファイトして周りは大丈夫なんかな?って思ったり。

まぁアクションで1番テンション上がったのは冒頭のフンの仕事っぷりです。

あまりに華麗な殺しで、その後フンがただのバイトって聞いてビックリしたよ!

胴ばかり狙う社員よりよっぽどいい働きするんじゃないすかね。

 

ヒョンドとミヨンの恋愛模様は個人的にはどうでもよかったんですが(昔好きだった歌手で…とかなんか…)、96分の復讐劇としてはヒョンドの取る行動が丁寧に描かれていて良かったです。

復讐に重きを置いてそういうメンタル部分が蔑ろになってる作品も結構ありますしね。アクションがっつり!も好きですが、動機付けが丁寧だとやっぱ観ていて感情移入しやすいです。

そう、このヒョンド、作品内では寡黙だし、言い訳も説明も何もしない男だけど、彼が話さない分ちゃんと映像として描かれていて親切な作りだなって感じでした。

 

ラストは『映画は映画だ』を少し思い出したりして…。破滅的主人公っていうか。

しかしあの意味深な表情のヒョンドで直前のお粗末気味なバトルシーンは帳消しにはならないです(笑)

ちなみに私的ベストの帳消しラスト表情(なんのこっちゃ)は『ホット・ロック』のレッドフォードです。結構ダントツで度胆を抜かれたラスト展開(いまだにこれはやっちゃダメだろって思ってる)が帳消しになるくらいのレッドフォードの表情の演技。素晴らしかったです。

 

そして本当のラスト、入社前のヒョンドが出てくるんですが、彼はあの会社の実態を知っていて応募したんですかね?それによってあの証明写真の意味合いがだいぶ変わってくると思うんですが。

 

とりあえず韓国映画で復讐ものはもっと面白い作品が沢山ありますし、アクションが凄い作品ももっともっと沢山あります。

でもこの作品は90分映画としてはだいぶ綺麗にまとめてあって、「韓国クライムものグロいから苦手」な人でも観れる作品じゃないかなーって思ったり。血はドバーですが。

私としてはもともとそこまで期待していなかったのもあり、満足でした。

あと、クァク・ドウォンのムカつき過ぎる演技も良かったです。ムカついたけど(笑)

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