嗤う分身
THE DOUBLE
2013年制作 2014年日本公開 イギリス 93分
監督:リチャード・アイオアディ
キャスト:ジェシー・アイゼンバーグ、ミア・ワシコウスカ、ウォーレス・ショーン、ヤスミン・ペイジ、ノア・テイラー
要領が悪く存在感の薄いサイモン・ジェームズは周囲からまともに相手にされず、向かいの部屋に住む職場の同僚ハナを望遠鏡でのぞくパッとしない毎日を送っていた。
そんなある日、彼と生き写しのような新人ジェームズ・サイモンが入社してくるが、職場では誰もジェームズの存在に驚かない。容姿は同じでも性格は全然違うジェームズの登場により、サイモンは追い詰められていき…
※感想という感想もないので、色々ウダウダ話してます。今回はネタバレ的なのはないです。
イギリス映画と昭和歌謡というなんとも魅力的な謳い文句で、ミリオン座で上映している時に観ようか凄く悩んだけど他に観たいものがあったので観れなかった作品。
レンタルで出ていたので早速レンタル。この時期は他にも観たくて観れなかった作品がちょこちょこあって、それらの作品がレンタル開始し始めてるからワクワクです。
で、これ。
面白かったか面白くなかったかで言えば私は面白くなかった。でも良かったか悪かったかで言えば良かった。そんな作品です。
不条理ストーリーで、普通に観てると意味なんて全然わからない。
主人公サイモンは初っ端から2人しか乗ってない電車で「そこは俺の席だからどけ」と座っていた場所を譲らされるし、勤続7年なのに何故か会社に自分のデータがないし。
始まってすぐ怒涛の勢いでサイモンの不条理待遇が出るわ出るわ、サイモンの存在感の無さとかそういうレベルじゃないです。
サイモンの会社がなんの会社なのかわからないし、一体なんの作業をしているのかわからないし、会社の人事のシステムもよくわからないし。
基本全てがよくわからないから、もういっそ「わからない」って感覚がマヒする。
「わからないから何?」くらいの感覚に。
そんな状態で何が良かったかと言えば、映像が良かった。
レトロなんだけど年代がイマイチわからない小物含め背景。昔のフィルムで撮影したのかってくらいのちょっと埃っぽい空気感。
基本家と会社の往復だけど自然光の下に出ることはなく、常にやたら濃い影に、時折入る強烈な人工の光。
個人的にパケ画にも使われている3人(2人?)並んだ写真が凄くソワソワする出来で好きです。
真ん中に逆さになったミア・ワシコウスカ、そして両端にジェシー・アイゼンバーグなんですが、このジェシー・アイゼンバーグが心をソワソワさせる。
ミアは光源が右側(ミアから見て左)でまぁなんとも。ジェシーは正面やや右(ジェシーから観て左)なんですが、左右のジェシーが左右反転してあるわけではないので影の付き方は一緒、だけど見えてる目が違うのです。
左右反転してあれば別になんともないんでしょうが、目の部分だけ違うっていうのが見ていてすごく違和感というかソワソワする…。
個人的に右のジェシーが少し青みがかって見えるんですがこれは目の錯覚的なものですかね。
あとフィルムと言えば誰の何だったか全く覚えていませんが「古いカメラ、古いフィルムで撮る」ってのはあるらしいですが、最近の技術凄いからフィルムじゃなくてもデータでレトロ風にできそうだよね。映像系全然わからないけども。
ただ昔、とあるアーティストが1曲だけPVを良いフィルムで撮ったって言ってて、それを観たところ素人目から見ても全然違っていて、なんだろう、チープな言葉で言うと空気感?空気の色が違って「フィルムすげー!」って感動したっていうどうでもいい思い出はあります。
あれ、これ何の話だ…?
とりあえず観ていてなかなか楽しかった作品でした。
予告を観て戸惑いを覚えた昭和歌謡も意外とハマってたし。むしろ効果的に。
そしてドストエフスキーの原作ですが、原作は未読です。むしろドストエフスキーは一作もちゃんと読んでおらず。「カラマーゾフ~」は学生の頃買って途中で積読にされています…買う時もこうなるんだろうなって思ってたけども…本当になるとはね…読むべきとは昔から言われているのでいつか読みたいですが…。
ちなみにこの作品、公開当時、ミリオン座で座談会?みたいなのが開催されてました。そこでどんな意見が出たのかっていうのだけ気になります(笑)