忘れることに備える記録

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人生スイッチ

WILD TALES

2014年制作 2015年公開 アルゼンチン・スペイン 122分 

監督:ダミアン・ジフロン

キャスト:リカルド・ダリン、オスカル・マルティネス、レオナルド・スバラーリャ、エリカ・リバス、リタ・コルテセ

飛行機の乗客たちは、不思議なことに全員に共通点があり…(『おかえし』)

偶然にも自分が働く店を訪れた親の敵に遭遇した女性に、調理担当が料理に毒を入れることを提案する。さすがに毒はと戸惑うが…(『おもてなし』)

ドライバーは走る車もほとんどない道路で、追い越しを邪魔するボロ車を抜き去るが…(『エンスト』) 

 

ってことで結局『人生スイッチ』を観てきました。栄に別件の用事があったのでちょうど良かった。

で、これ。

私的にはアタリに入ります。なかなか面白かった。

『おかえし』『おもてなし』『エンスト』『ヒーローになるために』『愚息』『HAPPY WEDDING』の6つのショートストーリーです。物語同士の干渉はないです。

わかりやすい例えだとストーリーテラーのいない『世にも奇妙な物語』 のような感じなんですが、個人的には『ハリウッド・ナイトメア』の方が雰囲気が近い気がします。ホラー要素のない『ハリウッド・ナイトメア』。

この『ハリウッド・ナイトメア』は中学の時にホラー苦手なくせにハマってVHSに録画しては観ていた思い出。ボックスでまとめてディスク化してくれることを熱望しているんですが、もう出ないんですかね。そもそもこの番組を観ていた人とあまり出会わないから需要がないんでしょうか…

 

話は逸れましたが、ブラックジョークまみれの作品なんでそういうのが苦手な人には向かないと思います。

アルゼンチンでは大ヒットということですが、アルゼンチンの方はブラックジョーク好きが多いのかな?日本では賛否両論別れているようですが、まぁそうだろうなーって感じ。

私としても声を出して笑うような感じではないです。ちょっとクスッとしちゃう感じ。

ああ、また『ハリウッド・ナイトメア』再放送とかでやらないかなー。


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映画『人生スイッチ』予告編 - YouTube

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰の人生にもちょこちょこあるターニングポイント。

「あの時ああしていれば~」的なことは考えればキリがないのにどうしようもない。

そういうターニングポイントで人生のスイッチがものの見事に【不幸】の方に切り替わってしまった人たちのお話です。

「ああしていれば~」と後悔できるだけまだマシかも…と思ったり(笑)

 

まず始まる『おかえし』。

これはあらすじから想像した通りの話で、展開もオチも読めるんですがそれでいい。

冒頭の本当に短い話で何分だったのかわからないけど感覚としては5分くらい?その短い中での掴みとしては上々だと思います。

元カレの人物像が他人から語られる曖昧なものだけでリアルな部分がわからないってのもなかなかです。

 

次が『おもてなし』。

これは個人的には特に…。でも『ハリウッド・ナイトメア』っぽさは強いかも。

結局何故敵の男には毒が効かなかったのか。

他人の入れた毒で心の中では相手が死ぬことを望みつつも、罪を犯すことへの葛藤で揺れる主人公が途中までは良かったんですが、相手の息子が現れたところらへんからイマイチのれなかったかな。

でもラストのおばちゃんのウインクは狂気で良かった。

 

そして『エンスト』。

これが1番ブラックかな。これも『ハリウッド・ナイトメア』をかなり彷彿とさせます。

汚いわ、めちゃくちゃだわで「うーん…」と思ってたんだけど、ラストのしょうもないオチに思わずフッとなってしまった。

最後の車内のもみくちゃファイト中のカーステからのBGMといい、「あぁ」となってちょっと良い印象で終わりました。

 

『ヒーローになるために』

『世にも~』とか『ハリウッド~』でもたまに挟まれるなんか良い話?的ポジション。

主人公がとことんついてなくて不幸になっていくんだけど、この主人公の性格も性格なのであまり同情の対象にはならないかな。

ラストまでタイトルの意味がわからなかったんだけど、「なるほどね」とは思った。

でも結局結果オーライだっただけで主人公が成長して人生を好転させたわけじゃないし、家族も主人公がある種のヒーローになった瞬間手のひらを反す感じはあまり好きではないです。

でもビル爆破のシーンはなかなか。でもあれCGだろうな。そんな費用ないよね。

 

『愚息』

色々と人間の汚い部分の見える話ですが、なかなか面白かったです。

みんなそれぞれが金の亡者で、替え玉・弁護士・検事が相手の弱みにつけこみ出来る限り搾取しようとするんだけど、それに主人公がブチ切れて「もういい!!」ってなった瞬間「あなたに良い条件にしますから」と減額を申し出て来るのとか典型的なクズたちがいっそ清々しい。

でもあのラスト以降を考えるとどうなるんですかね。替え玉の家族はこの件を知らないわけだから主人公一家と弁護士、検事が万々歳で終わるのか…

 

『HAPPY WEDDING』

ある意味1番ぶっ飛んでる話。

『世にも~』でもラストはそれなりに後味良く終わったりしますが、これもそっち系と言えばそっち系。

それにしてもアルゼンチンの結婚式ってこんなに騒々しいのかな?もう結婚式って言うかクラブじゃん(笑)

長年付き合ってきただろうカップルの結婚式に旦那の浮気相手が来ていて、それに気付いてしまった花嫁ブチ切れ、完全に頭の何かが吹っ切れてしまってもう手のつけられない状態に。

自分の結婚式をめちゃくちゃにしていく様はある種の痛快さがありました。

自分に非があった手前、最初はオロオロしていた旦那もとうとうブチ切れ。「訴えるぞ!」とまで言ったもののママに慰められながらさめざめと泣きだす始末。

そんな旦那の姿に嫁は「やばいウケる!これちゃんと撮っといてー!」とぶっ壊れながら笑ってるものの、糸が切れたように呆然とし泣き出してしまう。

そしたらそんな号泣の嫁を見て旦那がいきなり「Shall we dance?」ばりのお誘い。そして嫁もそれに応じて2人は仲睦まじくダンス。

離婚どころか傷害事件だよ、ばりのハチャメチャ結婚式をその場で見ていた来賓も何故か普通に「ヨリ戻ったんだね!おめでとう!もう、人騒がせなんだから!」的祝福。

そしたらその場で新郎新婦はいきなりセックスし始めて来賓が「お熱いことで」的温かい目で退場。

ええええええええええ(笑)

これは笑った(笑)このオチが1番賛否分かれる気もするけど、面白かった(笑)

まぁ結婚なんてある意味ぶっ飛んだ状態じゃなきゃなかなかできないよね(個人的意見)

彼等はいっそこれからは仲良く暮らしていける気がします(生活を変えたくない人間の個人的意見)

私はこれでラスト清々しく終われましたが、このオチが嫌いな人はラストに嫌なものを長々と見せられた…って状態になるんだろうな。

 

 

本当に向き不向き、賛否両論分かれる作品ですが個人的にはそこそこオススメです。

ギリギリで観に行って良かった。

そして9、10月は定期的に訪れる「ミリオン座・センチュリーシネマウェーブ」の時期のようです。

1作観に行くとまた別に観たい作品を知ってしまい、ひたすらどちらかに通うという恐ろしい波。

とりあえず今月はまだ3作は観たい作品があるのでちょっと計画を立てなくては。

ちなみにドラクエはゲルダのもとに向かうところです。まだまだです。