バルフィ!人生に唄えば
BARFI!
2011年制作 2014年日本公開 インド 151分
監督:アヌラーグ・バス
キャスト:ランビール・カプール、プリヤンカー・チョープラ、イリヤーナ・デクルーズ
バルフィは、生まれた時から耳が聞こえないことで会話ができないものの、目線と身振り手振りで感情を表現し、街の人気者となっている。
資産家との愛のない結婚に悩むシュルティはバルフィに思いを寄せていた。一方、家族からの愛情に恵まれなかったジルミルも、バルフィにだけは心を開き、次第に惹かれていく。
この作品のことは全く知らなかったんですが、偶然手に取り「たまにはインド映画も観てみるか、これは踊りだすギラギラ感もそんなにないし」と長尺に怖気づきつつも借りてきてみました。
結果、ストーリーはまぁツッコミ所が多々ありつつも1つのお話としては及第点くらいのまとまりはあるものの可もなく不可もない、しかし役者と歌の使い方に個人的には心を掴まれました。
劇中歌のなんとも妙なこと。結構な頻度で歌が入るんですが全く邪魔と思わずにむしろそれが作品を2割増しくらいにしてくれている、なんとも絶妙な歌の使い方。良い!
そしてキャスト。シュルティ役のイリヤーナの絶世の美女感(つけまつげの長さ半端ないけど)も堪らないし、ジルミル役のプリヤンカーはインドで今をときめく女優さんのようですがイリヤーナとは違う可愛らしさを持ちつつ何とも愛おしい。
そして何より主人公バルフィ役のランビール。聾唖者の役と言うことでやたら高い声で自分の名前を言う以外のセリフはないんですが、その目、その表情でバルフィの感情が物凄く伝わってくる。途中何度か手話で話す部分があるのですが、それに対する字幕は出ないし手話は全然わからないんですが、それでも何故か彼が何を言ったのかなんとなくわかる気がするのです(字幕出ないから答え合わせできないんだけどね)。
芸能界のサラブレッドらしいですが、久々に目の離せない演技をする役者さんに出会いました。良い!
とても魅力的なインドの俳優さん達を観れたってだけで、観た価値のある作品だったと思います。ストーリーに関しては好き好きかと。
でも色々な名作映画のオマージュがあるのでそういう部分でも楽しめるかな。あと聾唖者と自閉症の子がメインということでトーキー映画のような雰囲気もあります。
映像的にはウェス・アンダーソンとかをちょっと彷彿。インドの色彩の鮮やかな感じとか、観ていて楽しかったな。
以下ネタバレあり
イタズラ(軽犯罪も多々)好きな聾唖の男が金持ちと婚約している美女に惚れ、美女も彼に惹かれるも金持ちの男と結婚し、振られた彼は父を助ける為に銀行強盗や誘拐を企てながらも父を亡くし、誘拐相手だった昔馴染みの自閉症の女の子と旅をしながら惹かれあっていくも、そこに昔好きだった美女が現れ…
って書くとバルフィがウダウダしている話に思えますが、実際は違います。
バルフィはシュルティが好きでしたが彼女が金持ちと結婚するって決めた後は彼女をちゃんと諦めています。シュルティに再会した時はもうジルミルのことをきちんと大事に思っていて、そういう彼の真っ直ぐなところは観ていて好感を持ちました。
って言ってもこのバルフィ、やることがハチャメチャというか、いつも警察に追われているのも納得なくらい「おいおい」って感じなのですが。
友情や愛情を電柱をギリギリ自分たちに当たらないように倒して、倒れてくる電柱から相手が逃げ出さないかで確かめたり、ヒッチハイクをしていたかと思えば何故か走ってくる車に釘を仕掛けてパンクさせ逃げ出したり、父親を助ける為とはいえ普通に銀行強盗したし、誘拐を企てて身代金をもらったし、まぁ軽犯罪からそこそこ重い犯罪までやらかすのです。
そこには大抵いつも親友がいるんですが「いやいや、止めないんかい」って思いつつ、インドってどんな国かわからないんですがそんな感じなんですかね。線路を私用で使ってあわや列車と衝突かって時も「ごめんごめん」って感じだけだったし(笑)
これが日本舞台だったら「何やこのめちゃくちゃな男は!人様に迷惑ばっかかけおって!」と思うところですが、あまり事情を知らない国が舞台ということもあって「そんな感じなのかなー」と楽しめました(そんな感じじゃないわ!ってことだったらインドごめんなさい)。
しかしジルミルの父親があんなこと企てておきながらものうのうと有力者にとどまり続け、バルフィをあんな風に責めたことを考えると、どこの国も権力者って嫌なイメージあるんだなーと思ったり…
そしてメインの2人があまり話さない役ということで、もう1人の美女が結構メインな感じで話が進んでいくんですが、彼女はそこそこ可哀想な感じなんですよね。
でも私としては自業自得感が…
母親が勧めてきたとは言え金持ちを選んだのは自分だし(後々母に文句を言ってたけど決めたのは自分だろって思った)、再会したバルフィにジルミルがいるとわかりつつも旦那をなおざりにしたのも自分だし、ジルミルがいなくなって心の中で喜ぶのはまだわかるけど列車の中で思わず笑ってしまう彼女には正直「女ってこえー!」と思ったし、ラスト彼女の部屋に飾ってあったバルフィとの2ショットらしき写真は3ショットのジルミルのところを折ったものだったってのがわかって「女ってこえー!part2」って思ったし…
どう考えても嫌いなタイプの女性なんですが、それでもあまりにも美女なので「悔しいけど綺麗…好き…」と思いつつ観ていました(笑)美女には敵わないよ…
個人的に好きなシーンはバルフィがシュルティに告白するところ。
心を差し出すシーンとか良かった。時計のくだりも文句無しです。
とりあえずランビール・カプールというインド俳優に出会えただけで個人的には大満足でした。