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オールド・ボーイ(ハリウッドリメイク)

Oldboy

2013年公開 2014年日本公開 アメリカ 103分

監督:スパイク・リー

キャスト:ジョシュ・ブローリンエリザベス・オルセンシャールト・コプリーサミュエル・L・ジャクソン

1993年、広告代理店重役のジョー・ドーセットは泥酔して街をさまよっているところを何者かに拉致され、気が付くと見知らぬ一室に監禁されていた。理由もわからぬまま、気が狂うような生活が20年も続いたある日、彼は突然解放される。 

監禁中に妻殺しの汚名を着せられたジョーは、自分を陥れた者を突き止め、復讐を果たすべく動き出す。

 

ってことで観たよ、スパイク・リー版ハリウッドリメイク「オールド・ボーイ」。

この作品の評価は半々だと聞いてたけど、確かにどう判断したらいいのやら。

でもうまいことアメリカナイズされてたと思う。

 

どっちがオススメかと聞かれたら悩むとこだな…

韓国版の方が出来はいい、チェ・ミンシクの演技が良かったし、ネタの好き嫌いを考慮しなければストーリーとしても韓国版の方が作られた感あった。

でも、ハリウッド版の方が納得いくとこもあったし、何といっても私の苦手なネタ要素が減ってる…?

あんま言うとネタバレになっちゃうね。

とりあえず気になるなら両方観てみたらいいと思う。

同じ作品2本も観てもなー、と思うかもしれないけど結構違うものとして楽しめますよ、日を跨いだとは言え2本続けて観た私が言うんだから間違いない(笑)

 

パク・チャヌク版を受けてのなかなか胸熱なパケ写。でも偽物感も物凄く漂う(笑)
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『オールド・ボーイ』予告編 - YouTube

 

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

始まってすぐ主人公のクズっぷりに笑った。

デスはまだ愛嬌というか憎めない感じだったけど、このジョーがマジクズ。仕事もぐうたら、失敗できない商談で商談相手の彼女を下衆な感じで口説く、家庭とか娘とかどうでもいいんだよ、酒持ってこいクソが!的な人。

一ミリも同情できなかった(笑)

で、拉致られるんだけど、傘に描かれた20のマーク(なんていうの、あの海外版正の字みたいな)は正直ちょっと興ざめだったな。

でも監禁部屋での過ごし方はスパイク・リー版の方が笑った。

監禁されてもジョーがマジクズで、酒に溺れながらエクササイズ番組観て自慰始めた時なんて「何これコメディ?」ってなったよ。

からの、枕カバーに血で顔描いて抱きしめ始めた時なんて…もう…!あとネズミとの関係とか。孤独でキてる感じがこっちの方がわかりやすかったかな。

でもネズミの行く末は観てるこっちにもキたわ…精神的に。

あと幻覚がアリじゃなくて壁の絵の男だったんだけど、あれはもう孤独故の幻覚じゃなくてただの酔っ払い親父の幻覚だった(笑)

 

で、監禁部屋のテレビに犯罪特番が映って自分の娘を観て心を入れ替えるってのは何ともご都合主義っぽい気もするけど、まぁわかりやすい変わる動機だよね。

 

それからはまぁパク・チャヌク版と似た感じで進んでいって、パク・チャヌク版をだいぶ意識した画が所々出てくるんだけど、なんかそれいる?的な感じになるとこもあったな。

監禁部屋を突き止めて乗り込んでいくとこなんかも、ジョー強すぎだし。なんかめっちゃ強い。でも一応ちゃんと背中にナイフは頂くわけで。この刺され方が嘘っぽい…。刺した奴も「わー!」って感じで来て刺して、「わー!」って感じで逃げていく…。なんやねん。

脱出する時のエレベーターの画もパク・チャヌク版を踏襲してるんだけど、ジョーは強いからね、結構ピンピンした状態でエレベーターから出てきたのに場面変わって建物から出てくる時はフラフラの死にかけ。

何があったんだよ…

もうここら辺はツッコミ待ちです!くらいの感覚…

 

でもジョー強すぎ以外の改変は結構納得いくものが多かったな。

エイドリアンがジョーを騙す為に偽の娘を作るのは「なるほど!」となったし、監禁の理由もパク・チャヌク版は姉弟のセックス現場見られて噂が広まって姉が想像妊娠からの自殺、お前のせいだ!な逆恨み的なものだったけど(しかもデスは友人に言ったは言ったけど「誰にも言うなよ」と一応の口止め&すぐ転校したのに)、スパイク・リー版はまずセックス目撃現場が父と娘(エイドリアンから見て妹に改変)、ジョーは堂々とみんなに言いふらし苛めだろってレベルで娼婦呼ばわり。そら恨まれるわなって思ったけど、スパイク・リーは予想の斜め上にいった!

なんとエイドリアンの家庭は近親相姦当たり前、「父は母も妹もそして僕のことも愛していた」とエイドリアンがうっとり言っちゃうレベルだったという。回想で父が近づいてきてすぐ服を脱ごうとする妹、同じく父が近づいてきてすぐに笑顔でズボンを脱ごうとするエイドリアン。…なんて家庭だ…。

まぁそんな父が噂が広まったことが原因で?、一家心中を図り妹、母、エイドリアンの順で銃殺、そして最後自殺、となるんだけど、撃たれたところが悪く?エイドリアンだけ生き残ってしまう。

父からの行為を「愛」と受け取っていたエイドリアンは「ジョーのせいで…!」となるという、まぁこれも逆恨み?って感じだけど、パク・チャヌク版よりは私としては納得できた。

 

あと重要なのはね、スパイク・リー版では催眠術無し!

これはでかいよ!催眠術の胡散臭さ半端なかったからね。だからこその娘の替え玉なわけだけど、うまいこと考えたなーと。

で、催眠術無しだからラストも変わってくるんだけど、ラストに関してはスパイク・リー版の方が断然好きです。

自分の娘だったと知って、離れることを決めるジョー。そしてジョーは自ら監禁部屋に戻るという。最後のジョーの笑顔とか、ああいうの好きだなー。

だってパク・チャヌク版はさ、娘だったと知って舌を自分で切ったり、犬の真似(これが1番観てて苦痛だった)したりしてまで親子であることを娘に言わないでくれって言ったのにさ、結局催眠術で「親子である」という自分の記憶を消して2人で愛し合ったまま生きていこうなんてさ、正直「はーーーー???」ってなったよ…

キリスト教では近親相姦は禁忌なんできっとハリウッド版では変えてくるだろうなって思ったけど、予想以上にうまいこと変えてくれてて安心しました。まぁ近親相姦はさせるんだけどね、まぁそれはストーリーの中心部分ですし仕方ない。

 

で、スパイク・リー版の不満点ですが、画をパク・チャヌク版に寄せてて話の繫がりが??な感じなのもそうなんですが、1番はそのジョーと娘の近親相姦シーン。

画面全体に映る2人のセックスシーン…の真ん中にでかでかとあるモザイク!

マジで興ざめでした…いや、別に見たくないんだけどさ、そんならいっそ下半身にはシーツでも掛けとくとかさ、もっと何とかできたんじゃない?と…。それかR18にでもして…って別に結合部をガチで見せなければいいんじゃないのかな?そこそこ引きの画でがっつりモザイクって…。

しかも大事なシーンだからラストでも出てくるわけだし。

ジョーが「娘とセックスしてしもうたー!」って打ちひしがれるシーンでドーンとモザイク…マジで…勘弁してよ…ってなったよ。

 

 

でもまぁ個人的にはそこそこ満足。どっちかというと良かった寄りです。

個人的に1番良かったシーンは前述した監禁初期のジョーのクズっぷりですが(笑)、1番良かったポイントはエイドリアン。

パク・チャヌク版の犯人よりも穏やかで、静かに狂ってるというか、ジョーに対する感情も憎しみという一言ではないというか。個人的には好きなタイプの人物でした、勿論あくまでも創作人物としてね。

このエイドリアンを演じたシャールト・コプリーも良かったな。

エイドリアン役はクリスチャン・ベールとかクライヴ・オーウェンの名前が出たり、コリン・ファースに断られたりしたみたいだけどシャールト・コプリーではまってると思う。むしろクライヴ・オーウェンコリン・ファースはなんかイメージが違う。クリスチャン・ベールは少し観たかった気もするけど。

しかしコリン・ファースが受けてたらコリン・ファース本当にゲイ、もしくはそういう関係の役が多すぎることになるよね…

私の持ってるコリン・ファース出演作が「シングルマン」と「裏切りのサーカス」ってのがあれなのかもしれないけど、すごくゲイ役のイメージついちゃったよ…いったい何故なのか…(笑)